こんにちは、はばたき矯正・こども歯科　院長の北見です。

「前歯のガタガタが気になる」「笑うときに見える部分だけきれいにしたい」――そんな思いを持っている人は少なくありません。
全体矯正は時間も費用もかかるため、気になる部分だけ治したいという希望から人気を集めているのが「部分矯正」です。
今回は部分矯正の特徴やメリット・デメリット、そして矯正治療の本来の目的について、やさしく解説します。

部分矯正とは？

部分矯正（ぶぶんきょうせい）は、歯全体ではなく気になる部分だけを動かして歯並びを整える矯正方法です。
たとえば、

といったケースで選ばれることが多いです。
使用する装置に制限はなく、ワイヤー矯正のほか、マウスピース矯正をでも可能です。

※最近よく広告で見かける「安いマウスピース矯正」は、実は部分矯正にあたります。
全体をしっかり動かす矯正とは異なり、範囲を限定しているため、実は矯正専門医院であっても部分矯正は同じくらい安価で治療できることがほとんどです。

部分矯正のメリット

治療期間が短い
動かす範囲が限られているため、通常の全体矯正より短期間で終わることが多いです。
およそ半年から1年ほどで改善できるケースが目立ちます。

費用が抑えられる
全体に装置をつける必要がないため、比較的安い費用で受けられます。
矯正専門医院でも、部分矯正なら経済的に始めやすいのが魅力です。

見た目を優先できる
「人から見える前歯だけきれいにしたい」という希望を叶えやすく、笑顔に自信を持ちたい人にぴったりです。

装置の選択肢がある
ワイヤー矯正、裏側矯正、マウスピース矯正など、目立ちにくい方法を選べるので、見た目を気にせず治療が進められます。

部分矯正のデメリット・注意点

もちろん、良いことばかりではありません。部分矯正には次のような限界もあります。

かみ合わせは改善されないことが多い
部分矯正は見える範囲を整えることが中心です。
奥歯のかみ合わせや全体のバランスに問題がある場合、十分な改善は望めません。

動かせる範囲が限られる
歯の重なりが強かったり、歯列全体のズレが大きい場合は、部分矯正では理想的な結果が出ないこともあります。

後戻りのリスク
治療後に保定装置をきちんと使わないと、せっかく整えた歯並びが少しずつ戻ってしまう可能性があります。

矯正治療の本来の目的とは？

部分矯正は「前歯をきれいにしたい」という願いに応える有効な方法ですが、矯正治療のゴールは見た目だけではありません。
矯正を専門にしている立場から言えば、治療の目的は 「きれいな歯並びから生まれる笑顔」 と 「よいかみ合わせによるQOL（生活の質）の向上」 の両立です。
つまり、部分矯正はあくまで「見た目を中心に改善する方法」であり、根本的にかみ合わせを良くしたい場合には、全体矯正が必要になります。

そうはいっても、患者さんの希望を叶えることに尽力することも医療人としての基本です。
部分矯正を希望される場合は、よく相談したうえで決めていただきます。

安易に「部分矯正ね、いいよ、やりましょう。」とすぐやってしまうのはあってはならないことです。
部分矯正って簡単なようで難しい治療なのです。
矯正治療をしてあなたはどうなりたいか、それは部分矯正で叶えられるのかなどをよく吟味して、相談にのってくれる歯科医師に依頼しましょう。

まとめ

部分矯正は「前歯のちょっとしたガタガタやすき間を整えたい」「できるだけ早く・安く治したい」という人に向いています。
特に最近話題の安価なマウスピース矯正の多くは部分矯正であり、矯正専門医院でも同じくらいリーズナブルに受けられるのが特徴です。

ただし、矯正治療の本当の目的は「見た目」と「かみ合わせ」の両方を整えることにあります。
笑顔の美しさだけでなく、将来の歯の健康や生活の質を考えるなら、矯正専門医に相談し、部分矯正と全体矯正のどちらが自分に合っているのかをしっかり確認することが大切です。

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